乳がん診療日記

乳がんと診断された患者さんは
きっと、いや絶対考えたであろう
治療をどこで誰に任せばいいの?

 

大学病院?
有名どころの市中病院?
乳腺専門クリニック?
近くで、よい医療施設はどこかな?

 

大学病院の方が治療成績いいのでは?
インターネットで評判を検索してみようか
Dr.松は乳房再建が得意のようだけど、乳がん治療は大丈夫なんか?
様々な思いがよぎると思います。

 

ぶっちゃけ、あの医者に任せて大丈夫なんか?
時には、家族からの横槍が入る。

 

医者の中でも様々な年代がある。
一生懸命な研修医
程よい経験を積んだ中堅医師
経験豊富なベテラン医師

 

選択肢が多くなればなるほど迷う。
当然の疑問です。
自分の人生かかってますからね。

 

医者との相性はともかく
施設によって治療成績に違いはあるのだろうか?
違いがあるのなら、たとえ1%でもより良い治療ができる施設を選びますわね。

 

治療後の再発率や生存率をHPで公表している病院はあれど
他院と比較して掲載している訳ではないので、それが良いのか悪いのか
一般の方には理解できない。

 

だから、有名な病院なら間違いないであろうといった選択を
なさるケースが多いように思います。

 

下の図の左側が、私が執刀した方の無再発生存率です(過去250症例)。
下の図の右側は、とある大学のHPから拝借したものになります。
再発せずに生存している患者さんの割合を示しています。
とある患者さんが再発すると線が下に向かいます。

Dr.松と、とある大学病院とどっちが再発が少ないんでしょうかね?
尺度を同じにして、重ね合わせたのが下の図になります。

ぴったり再発曲線が重なってます。
私の解釈が間違ってなければ、ほぼ差はない。

 

当然といえば当然ですが、ガイドラインに沿った標準治療を行なえば
おのずと標準的な治療結果が伴います。

 

乳がん治療は、手術のみならず術後補助療法がセットになります。
手術が上手だから再発率が少ないとか、下手だがら再発するとかは関係ありません。

 

大事なことは
取り残しすることなく乳がんを取りきること
標準的な術後補助療法をきっちりやること
です。

 

ただ、我々医療者側の免罪符のような標準治療が全てではありません。
患者さんごとに希望や生き様があります。
仮に上記のような結果が伴わなくても、別の選択をなさる方もおられます。

 

ホルモン治療を長期に継続するのが嫌だから、その選択を許してくれる医者を探そう
抗癌剤で毛が抜けるのが嫌だから、抗癌剤投与なしで診てくれる医者を探そう
その選択の意義を十分に理解しているのであれば、どの選択肢でも正解だと思います。

 

久々に語ってみました。

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