乳がん診療日記

先日、私のHPのお問い合わせ欄から、ご質問を頂きました。

問) Stage IV でもインプラント再建は可能か?
答) 結論から申し上げると、可能です。

理由は以下の通りです。
学会のインプラント再建の適応条件に一次再建であればStage II 以下であることとなってますが、二次再建の場合であれば、乳房領域に残存腫瘍が認められなければ再建可能となってます。つまり、Stage III, IV であったとしても局所コントロールがなされていれば、乳房再建可能となります。
仮にStage IV であったとしても、脳転移巣に対してガンマナイフや全脳照射によって、また肝・肺・骨転移があったとしても抗癌剤治療などによって寛解状態が保たれていることはよくあることです。最近、分子標的治療薬のお陰で、治療成績がすごく改善されました。
手術の侵襲によって寛解状態が保てなくなる(腫瘍が暴れだす)のでは?とのご心配もあろうかと思いますが、たかが一時間の手術で制御不可能な状態になるのではあれば、手術が契機となった可能性は否定はできなけれども、その他の要因によるものであると私は考えるとのご説明をさせて頂きました。

ご質問者さんは、5年間、乳房再建への思いを封印してこられたようです。
私のアドバイスがお役に立つかは、結果次第ではありますが、希望を諦めたらあきません。
悔いのない選択につながれば幸いです。

他人と過去は変えられないけど、自分と未来は変えられる

乳腺専門医と形成外科専門医の狭間にて
松谷崇弘

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